睡眠障害とは!?
人は「日の出とともに起床して、日中に活動し、日が沈むと休息をとる」、このような生活が本来のリズムです。しかし、現代では交代勤務や時差勤務などがあり、昼夜が逆転したサイクルで生活する人々も増えてきています。その為、日常生活に影響が出てしまう様々な状態の総称を睡眠障害と言います。十分な睡眠がとれない状況が続くと、作業能率や学業成績の低下がみられ、社会的経済損失を招いてしまいます。これまで多くの調査によって、産業事故交通事故の多くは深夜や早朝の眠気と関連して発生していることが報告されています。今や不眠症状は5人に1人、睡眠薬などの使用は20人に1人と言われるまでになっています。心身ともに健康である為には、質の良い睡眠がかかせません。
睡眠障害の種類
睡眠障害としては、約80種の睡眠に関連した病気があるとされています。
主な睡眠障害としては以下の5つ。
①不眠症
不眠症にも種類があり、基本的に3つのタイプに分かれます。
⑴入眠障害
寝床に入ってもなかなか寝付けず、眠りにつくまでに30分~1時間以上かかってしまう状態。不眠症の訴えで最も多く、不安や緊張が強い時に起こりやすいと言われています。
⑵中途覚醒
寝床に入って入眠してから起床するまでに、何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けない状態。加齢とともに症状が出やすくなり、中高年や高齢者に多くみられると言われています。
⑶早朝覚醒
本来、自分が望む起床時間よりも2時間以上早く目覚めてしまう状態。加齢とともに体内時計のリズムが前の方にズレやすく、高齢者やうつ病の方にも多くみられる症状です。
これらの不眠症の考えられる原因として、「ストレスや心理的な要因」「身体的要因」「環境的要因」「生活習慣の乱れ」などがあります。
「ストレスや心理的な要因」
→悩みや不安、緊張やイライラなどの心理的ストレス状態が原因。
「身体的要因」
→疾患や薬の服用、風邪や頭痛・腰痛などの症状による痛みが原因。
「環境的要因」
→引っ越しや転職、寝具が合わない、部屋が明るい、部屋が適温ではない、周りの音がうるさいなどの環境が原因。
「生活習慣の乱れ」
→運動不足、暴飲暴食、過度なカフェインやアルコールの摂取、寝る直前までスマートフォンやパソコンの使用が原因。
②過眠症
過眠症とは、しっかりと睡眠時間を取っているにも関わらず、日中などに強い眠気が生じて、仕事や家事など日常生活に支障をきたしてしまう状態で、気づいたら居眠りしていたり、夜間の睡眠時間が長くなってしまったりする病気の総称です。
代表的な中枢性過眠症として「ナルコレプシー」があります。
「ナルコレプシー」とは!?
その場の状況に関係なく、意思に反して突然眠りに落ちてしまうことを繰り返す病気で、世界的には1000人から2000人に1人みられ、10代~20代前半に多いとされています。
症状としては、居眠りを繰り返したり、感情が高ぶったり驚いたりした瞬間に身体の一部が脱力してしまします。他には眠りについた後に金縛りや入眠時幻覚などの症状がみられることがあります。
原因としては、脳の中のオレキシンを作り出す神経細胞の障害で働かなくなることが報告されていますが、詳しくは現在も研究が進められています。
③睡眠関連呼吸障害
睡眠関連呼吸障害とは、睡眠時に呼吸が一時的に停止したり呼吸が浅くなったりすることで血液中の酸素が不足し、健康被害をもたらします。高血圧、虚血性心疾患、脳梗塞の発症原因にもなることがわかっています。
代表的なものとして「睡眠時無呼吸症候群」があります。
「睡眠時無呼吸症候群」とは!?
睡眠時に呼吸が何度も止まってしまう状態のことです。平均して1時間に10秒以上呼吸が止まる状態が5回以上みられる場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。
この状態を一晩中繰り返す為、睡眠の質が低下し日中に強い眠気が現れます。そして、酸素濃度が低下する為に必死に補おうと心臓の働きが強まり高血圧となります。他にも酸素濃度の低下により動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。さらに睡眠不足のストレスにより血糖値やコレステロール値が上昇し、様々な生活習慣病が引き起こされます。
原因としては、空気の通り道が狭くなることで生じる閉塞性睡眠時無呼吸症候群と、脳から呼吸をする指令が来なくなることで生じる中枢性睡眠時無呼吸症候群の2種類があります。その中でも大部分を占めるのが閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、肥満、小さいアゴ、舌の根元が落ち込むことによる舌根沈下、飲酒、睡眠薬の使用など。また鼻炎や鼻づまりも無呼吸になりやすいです。
④睡眠関連運動障害
睡眠関連運動障害とは、睡眠中や睡眠前後に現れる身体の動きを主な特徴とすることで睡眠の妨げとなります。
代表的なものとして「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」と「周期性四肢運動障害」があります。
「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」とは!?
夕方から深夜にかけて、下肢を中心に「むずむずする」「そわそわする感じ」「虫が這うような感じ」「痛痒い」などといった不快な異常感覚が現れる症状です。動いていれば大丈夫だが、じっとしていると再び現れてきます。その為、睡眠が浅く十分な睡眠がとれません。
「周期性四肢運動障害」とは!?
睡眠中に脚が意思に反して周期的にピクピクと起こる為、睡眠が妨げられ十分な睡眠がとれなくなります。
どちらの症状に関しても、ハッキリとした原因は解明されていませんが、遺伝の可能性もあるとされています。また、鉄欠乏性貧血やパーキンソン病、間接リウマチ、糖尿病、人工透析、うつ病などでも発症することもあります。
⑤睡眠時随伴症
睡眠時随伴症とは、入眠時、睡眠中、目が覚める時に起こる行動の総称です。
睡眠時随伴症にはタイプがあるのですが、代表的なものとして「睡眠時遊行症(夢遊病)」「睡眠時驚愕症(夜驚症)」「レム睡眠行動障害」などがあります。
「睡眠時遊行症(夢遊病)」とは!?
眠ったまま歩き回ったりして、その時の記憶はありません。子供の場合は基本的に思春期になると症状は治まっていきます。原因となるきっかけとして、ストレスや発熱、不規則な生活、痛みなどがあります。基本的には経過観察で自然と治まります。
「睡眠時驚愕症(夜驚症)」とは!?
睡眠中に急に叫び声をあげるのが特徴で、目を見開いたり、ひきつった顔、多量の汗などを伴います。原因となるきっかけとしては、夢遊病と同じでストレスや発熱などがあります。こちらも基本的には経過観察で自然と治まります。
「レム睡眠行動障害」とは!?
睡眠中に夢の中で怒っていたり、叩いたり、追いかけられたりなどの行動がそのまま異常行動となってあらわれます。実際に激しい口調で寝言を言ったり、壁を叩いたり、立ち上がってその場で走ったりなどします。
原因として、ストレスなどにより脳の中でも睡眠を司る部位に異常が発生して引き起こされると考えられています。通常、レム睡眠中は筋肉の動きも抑制され脱力状態になり、夢を見ても身体が動かないよう調整されています。しかし、レム睡眠行動障害では、脳の異常が検知され筋肉の抑制が正常に働かないために、夢の中の行動がそのまま現実に現れてしまいます。
また、レム睡眠行動障害は、パーキンソン病やレビー小体型認知症などの初期症状として40代後半~50代以降の男性を中心に発症することが多いとされています。
睡眠障害に対する当サロンの施術
主に当サロンが行う睡眠障害に対する施術としては、鍼灸、インディバ、ドライヘッドスパなどによる自律神経の乱れを整え、睡眠の質を向上させるのが目的です。
不眠症などのストレスや身体的な不調、精神的な不調が原因で発症する症状には効果が期待出来ます。
鍼灸施術やインディバ施術、ドライヘッドスパにより、身体の筋緊張をほぐし自律神経を整えたりすることで、リラックス効果がもたらされストレスや不調などを緩和する効果が期待出来ます。また、不眠症などの治療に対しては薬物療法が一般的に用いられますが、副作用の問題があります。しかし、鍼灸施術やインディバ施術などは副作用のリスクも低く(※好転反応など個人差はある)安全性が高いとされています。
鍼灸やインディバがなぜ不眠症に良いのか!?
⑴自然な眠気をもたらす
鍼灸やインディバは施術を行うことで、体内の自然治癒力を高める作用があります。これにより、体内の細胞が活性化され身体を修復しようと自然な眠気をもたらします。また、リラックス効果も得られる為、ストレスや不安なども軽減する効果が期待出来ます。
⑵薬剤依存や副作用の回避
睡眠薬を常用すると依存性が高くなるリスクがありますが、鍼灸やインディバは薬剤を使用しないので依存性の心配がありません。また、副作用もほとんどなく(※好転反応が出ることもある)安心出来ます。
⑶持続的な効果が期待できる
鍼灸施術やインディバ施術は継続的に行うことで効果が期待出来ます。また、継続的に行うことで身体が良い状態を保とうとするようになり、結果的に施術効果が持続することが期待出来ます。しかし、睡眠薬は長期的に使用することで、効果が低下することがあります。
⑷様々な観点からアプローチが可能
不眠症などの原因は様々あり、精神的ストレス、身体的な要因、生活習慣の乱れなど人によって違います。当サロンでは一人一人に合った施術方法で、状態に合わせて鍼灸施術やインディバ施術、ドライヘッドスパなどを組み合わせて総合的なアプローチが可能です。
鍼灸やインディバ施術により、ストレスや不安を軽減し自律神経のバランスを整えることで、脳内の神経伝達物質を調整することなどが挙げられます。ただ、効果が現れるまでには個人差があり時間がかかることもあります。ですので、睡眠障害の原因に応じた治療をしていく必要があります。
セルフケア
⒈睡眠環境の充実
寝室を快適な温度に保ち、ベッドや枕などの寝具を適切なものに変えることも効果的。
⒉睡眠時間にこだわりすぎない
適切な睡眠時間には個人差があり、長い人もいれば短い人もいる。季節などでも変化するため「○○時間寝なければいけない」にこだわらない。平均すると6~7時間睡眠が睡眠充足の目安になります。起床時にスッキリと目覚め、日中の眠気により生活に支障が出なければ十分。
⒊就寝時刻にこだわりすぎない
眠ろうと意識しすぎると、かえって寝つきを悪くします。就寝時間はあくまで目安であり、その日の眠気に応じて、眠たくなってから寝床に就くことでスムーズな入眠に繋がります。
⒋同じ時刻に毎日起床
早寝早起きではなく、早起きが早寝に繋がる。毎朝同じ時刻に起き、起きたらなるべく早く日光を浴びることで、快適な入眠をもたらしてくれます。日光を浴びることで、体内時計のリズムがリセットされると、そこから約14~16時間後に眠気が現れてきます。
⒌昼寝をするなら、15時前の20~30分にする
夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼします。最近の研究によると、昼食後から15時までの30分未満の規則正しい昼寝は、夜の睡眠に悪影響を与えないだけでなく、日中の眠気を解消してくれます。
⒍就寝前のリラックス
軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、アロマなどの香りを楽しむ、ストレッチ、ヨガ、瞑想など自分なりにリラックス法で気持ちを落ち着かせる。
⒎刺激物を避ける
覚醒作用を持つ代表なものとしてカフェインがあります。日本茶、コーヒー、紅茶、ココア、コーラ、栄養ドリンク、チョコレートなどに多く含まれています。カフェインは入眠を妨げ、摂取してから4~5時間は持続します。ですので、カフェインを摂取するなら就寝する4~5時間前までにしましょう。タバコに含まれるニコチンは、交感神経系の働きを活発にするため睡眠を阻害します。吸入してから数時間持続するため、喫煙するなら就寝する1時間前までにしましょう。
⒏規則正しい3度の食事と規則的な運動習慣
毎日、規則正しく朝食を摂っていると、この1時間ほど前から消化器系の活動が活発になり、朝の目覚めを促進します。夜食を食べすぎると、食物の消化が終わらず眠る時間帯に消化器系が活発に活動してしまいます。そうすると、寝つきも悪くなり睡眠が妨げられ、睡眠の質も悪化することがあります。特にタンパク質の多い食物でこの傾向が強くなります。また、昼間の運動が夜の睡眠を安定させ、運動習慣のある人は不眠になりにくいという結果が出ています。運動の内容として、30分程度の散歩・ランニング・水泳・体操・ストレッチなど軽く汗ばむ程度が効果的です。無理のない範囲で毎日規則的に行えるのが理想的です。