脳疲労とは、インターネットやスマートフォンの普及により急激に情報量が増し、溢れるようになった現代において脳の情報処理が追い付かなくなってしまい、集中力の低下やミスが増えたりなどの状態に陥ってしまうことです。
脳疲労が続くと、自律神経の乱れやうつ症状など身体に悪影響を与える可能性があるため、脳疲労を軽減する対策が必要となってきます。
~そもそもなぜ脳は疲れるのか~
脳は重さで言うと体重の約2%ほどですが、安静時のエネルギー消費量は身体全体の約20%も占めており、とてもエネルギー消費量の多い臓器であると言えます。
脳を構成する神経細胞は、物事を考えたりなど頭を働かせている状態を自分自身で実感出来ます。それ以外にも、身体の各臓器の働きや身体を動かしたり、姿勢を維持したりなど休むことなく常に働いている状態で、またいつでも各器官に命令を出せるように準備しているため大きなエネルギー消費をしています。
~脳疲労のサインとは~
①集中力の低下によるミスが増える
今まで意識せずにルーティン化出来ていた動作や作業が、脳疲労により単純作業であってもミスが増える。
②感情のコントロールがしにくくなる
例えば家事・育児・仕事などで疲れていると、怒りっぽくなったり、不安を感じたりマイナスな感情が出てくるのは、脳が思考・計画・判断といった役割以外にも感情・情動などを調節する役割も担っているためです。
③自律神経が乱れる
脳は生命維持のために呼吸や消化、体温調節、排泄などの機能を司っているため、脳疲労によって自律神経がうまく機能出来なくなると身体の不調などに繋がります。
~脳疲労の原因とは~
①スマートフォンやパソコンの使い過ぎ
これらのデジタルデバイスの影響も考えられます。スマートフォンやパソコンから得られる情報は膨大なため、色々と調べられたりと便利な反面、視覚的にも脳が受け取る情報量が増加し脳疲労に繋がる可能性があります。
②睡眠不足
睡眠の種類にはレム睡眠とノンレム睡眠の2つがあり、脳は特にノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠時に休んでいるため、睡眠が不十分だと脳疲労が回復せず疲れを持ち越してしまいます。その状態を繰り返してしまうと、脳疲労が蓄積され慢性的な疲労状態を引き起こしてしましまうのです。
③精神的ストレス
精神的ストレスは身体の様々な不調や不眠などに繋がり、脳疲労を更に引き起こしてしまう恐れがあります。
~脳疲労を改善させる方法~
①リラックスする時間を増やす
例えばアロマを使用してみたり、音楽を聴いたり、軽い運動をして汗を流してみたりしてリラックスする時間を増やしストレスをためないことが重要です。また、もみほぐしなどで固まった筋肉を緩ませることでよりリラックス出来るようになります。
②スケジュールを調整する
必要以上にスケジュールを詰め込みすぎたりすると、やらなくてはいけないことが多くなり物事を考える時間が増えるため脳の負荷も大きくなってしまいます。
③十分な睡眠を取る
脳疲労の回復のためには、とても重要です。適切な睡眠時間は人によって個人差があるため、あまり睡眠時間に拘らず朝目覚めた時に疲労感が残っておらずスッキリと自然に起きられる状態がベストです。
④寝る直前にスマートフォンやパソコンを見ない
スマートフォンやパソコンの画面から出る光は、睡眠や覚醒のリズムを調整するメラトニンというホルモンの分泌を抑制するため、睡眠の質に影響してしまいます。
⑤寝る前に瞑想する
瞑想とはリラックス感を高めたり、心身のバランスを整える効果が期待出来ます。瞑想には色々種類がありますが、寝ながら出来る瞑想をご紹介します。
⑴ベッドやマットなどの上で仰向けになる
⑵深呼吸をしたり伸びをしたりして身体をリラックスさせる。
⑶リラックスしたら足は肩幅以上、脇の下もこぶし一つ分程度のスペースを空ける。
⑷頭の先から、頭の後ろ、おでこ、眉間、目と少しずつ力を抜いていく。
⑸口の中、首筋、肩周り、胸の前、腕、背中、手の力を抜いていく。
⑹腰周り、太もも、ももの後ろ、ふくらはぎ、踵、足裏、足の甲、つま先の力を抜いていく。
⑺身体の全ての部位の力を抜いたら、そのままリラックスした状態を保つ。
~脳疲労に良い食べ物11選~
脳に良い栄養素を食事から摂取することで、脳を活性化させ健康を維持することが出来ます。
①青魚
サバやサンマ、イワシなどの青魚にはDHAやEPAなどの必須脂肪酸が含まれていて、どちらも体内では生成出来ない大事な栄養素です。DHAやEPAには脳に存在する神経細胞を再生したり保護したりする働きがあり、また情報の伝達をスムーズにする働きもあります。
②アマニ油
アマニ油とはアマの種子から作られるもので、DHAやEPAなどオメガ3系脂肪酸を豊富に含みます。脳の神経細胞に働きかけるほか、血液をサラサラにしたりコレステロール値を下げたりする効果もあります。
③ナッツ
アーモンドやくるみなどのナッツ類には、ビタミンEが豊富に含まれています。抗酸化作用があるため脳の酸化を防ぎ、脳の働きを維持するサポートもしてくれます。また、くるみにはαリノレン酸も豊富で、体内に吸収されるとDHAに変化し、脳の神経細胞に働きかけます。
④緑黄色野菜
ほうれん草や人参、ブロッコリー、カボチャなどの緑黄色野菜には、多くのビタミンやカロテンが含まれています。その中でも、ほうれん草やブロッコリー、カボチャに多いビタミンKは血液をサラサラにし、更に記憶力の維持に働くと言われています。また、人参に多いカロテンは体内でビタミンAに変換され、動脈硬化の予防にも繋がります。
⑤ベリー類
ブルーベリーやイチゴなどのベリー類にはアントシアニンが多く含まれています。アントシアニンは抗酸化作用があることから美容や健康にも良い成分として知られています。脳まで直接伝わり、脳疲労を軽減させることがわかっています。また、集中力や判断力、意欲などを上げる働きもあります。
⑥大豆
大豆にはレシチンが多く含まれ、レシチンは体内でアセチルコリンに変換されます。アセチルコリンは脳にとって欠かせない神経伝達物質の1つで、記憶力や認知能力を上手く働かせる為に必要となります。
⑦チョコレート
原料となるカカオには抗酸化物質のテオブロミンが含まれています。テオブロミンには脳をリラックスさせたり、細胞の老化を防いだりする働きがあります。またチョコレートを食べると、脳由来神経栄養因子(BDNF)が増え、BDNFは認知能力を高める効果があることも期待されています。
⑧トマト
トマトにはリコピンという抗酸化物質が多く含まれています。リコピンは定期的に摂取することで、記憶力の低下や認知症を防いだり、老化を抑制したりする働きが期待出来ます。これはリコピンが老化に関係している活性酸素を除去してくれる為だと考えられています。
⑨卵
黄身にはDHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸やリン脂質が多く含まれています。DHAやEPAは脳の神経細胞を保護や再生、リン脂質は情報伝達に関わるものです。また、卵にはコリンやゼアキサンチンも含まれています。コリンは体内でアセチルコリンとなり、記憶や情報伝達をサポート、ゼアキサンチンは抗酸化作用により脳の酸化を防いだり神経が効率よく働くようにサポートしたりもします。
⑩貝類
貝類には亜鉛が多く含まれています。亜鉛は脳機能の働きをサポートしてくれます。たんぱく質の生産や脳細胞の成長を促すこともわかっています。また、記憶と深い関係にある海馬にも亜鉛が多く存在することから、記憶力の働きもサポートしてくれます。
⑪バナナ
バナナにはブドウ糖、果糖、ショ糖の3つの糖分が含まれています。ブドウ糖は脳のエネルギー源となるもので、数ある糖のうち、脳はブドウ糖しかエネルギーとして使えません。海馬は特にブドウ糖と密接な関係で、摂取することで海馬の機能がよくなり、記憶力がよくなると言われています。また、バナナにはセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが多く含まれているので、睡眠の質を良くして脳を守る働きもあります。
このように脳疲労が蓄積されると、身体に様々な悪影響を及ぼす為、脳疲労が蓄積されてしまう習慣を見直したり、脳に良いとされる食べ物を積極的に摂取したりして、健康的な脳を保っていきましょう!
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